「値上げは悪」−デフレデメリットのコンセンサスを作る気がないメディア

各メディアでは、牛乳、醤油など生活に身近な物が4/1から値上げされることを伝えるニュースが頻繁に流れている。その論調は基本的に値上げが生活を圧迫する、値上げは悪いこと、というもの。経済学では教科書レベルで、多少のインフレより、デフレの方がデメリットが大きいと書かれているのに、メディアの報道でそういった視点が取り上げられることは全くない。日本は現在デフレ不況下であるにもかかわらずだ(もちろん相対価格差、価格水準といった概念も)。


メディア側に「陰謀」があるわけではないのだろう。要は勉強不足だと思うが、構造的な問題としてデフレのデメリットを語るための送り手と受け手が共有するフレームワーク村上龍いうところの文脈を持ってない、こともまた一因と思う。


もう何年もデフレ不況が議論されてきたにもかかわらず、相も変わらずメディアでは「値上げは悪」である。リフレ的な金融政策の国民合意はありえないだろうなとか、自分が施政者なら仮にリフレ的な政策を取るにしても国民に分らないよう、陰で隠れてやるようインセンティブが働くんだろうなと、あまり気持のよくない考えが頭に浮かぶのだった。