2008-01-01から1年間の記事一覧

橘木俊詔「格差社会―何が問題なのか」

岩田規久男「「小さな政府」を問いなおす」(→こちら)と異なる立場の主張として。こちらも全体像が整理されており、文章もこなれていて読みやすい。基本的なデータも上がっている。全体を通して目新しい話は少ない。それぐらい基本的ともいえる。本テーマの…

後藤和智「『若者論』を疑え!」

今の「若者」をイメージする参考として。のっけから、盟友の本田由紀氏とのメタな対談に苦笑。本対談で「言い訳」しているように、この本は自説を主張しようとするものではなく、世の中に流通する根拠のない言説を批判する主旨の本なので、他の方の書評でも…

岩田規久男「「小さな政府」を問いなおす」

政府・行政のあり方が、戦後から現在まで、どのように変化してきたかについて、政府の「大きさ」の観点から、世界的な視野を持って、経済的、政治的、思想的背景を踏まえて簡潔に整理されている。新自由主義の先駆けとしてのイギリス、福祉国家の代表として…

佐藤優「国家の罠〜外務省のラスプーチンと呼ばれて」

移動中など合間合間に時間を見つけ、ようやく読了。1か月ぐらいか。長かったなぁ。一般には知られざる外交の世界。その中のプレイヤーについて、単なる行動の記録ではなく、何のために、どのように考えて、その行動に至ったかまで踏み込んだ内容となっている…

佐藤優、手嶋龍一「インテリジェンス 武器なき戦争」

おもしろくないわけではないのだが。他の人のレビュー以上の感想はない。こういう世界があるんだなぁ、ということと、互いを持ち上げ続ける感じが嫌だなぁ、ということ。 インテリジェンス 武器なき戦争 (幻冬舎新書)作者: 手嶋龍一,佐藤優出版社/メーカー: …

佐々木信夫「自治体をどう変えるか」

読んだ。論点は広く押さえられてる、って感じかな。新書という制約もあり、各種提言については実現性の説得力を欠く印象がある。自治体をどう変えるか (ちくま新書)作者: 佐々木信夫出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2006/10/01メディア: 新書購入: 5人 ク…

三土修平「頭を冷やすための靖国論」

映画「靖国 YASUKUNI」公開記念。何度この道を通れば気が済むんだ!と思いつつ復習として。頭を冷やすための靖国論 (ちくま新書)作者: 三土修平出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2007/01メディア: 新書購入: 1人 クリック: 31回この商品を含むブログ (25件)…

岩井紀子・佐藤博樹編「日本人の姿‐JGSSにみる意識と行動」

実証データにより、とかくあいまいに捉えがちな「日本人」が多面的、かつ具体的に浮かび上がる。お薦め。日本人の姿 JGSSにみる意識と行動 (有斐閣選書)作者: 岩井紀子出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2002/05/01メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含…

池内恵「現代アラブの社会思想―終末論とイスラーム主義」

高木徹「ドキュメント 戦争広告代理店」での解説が素晴らしかったので読んでみた*1。正直期待外れ。ストンと腹に落ちてこない。いろいろ書いてあるし、社会思想の流れも整理されてるが、「それが正しいかどうかは別として」と言いたくなるところがミソ。現代…

トレードオフを念頭に置いた言説を〜橋本府政をめぐる反応

例によってやれやれ感しかないのだが。橋本府政へのメディアや関係者の発言。最低限トレードオフを意識して発言してくれよ。削減が府民へ負担を強いるってどういうこと?削減することで府民の債務負担減るんじゃないの?支出をするっていうのは(特に将来の…

映画「YASUKUNI」をめぐる騒動は有効に活用すべき

今回の、映画「YASUKUNI」をめぐる騒動の結果、靖国問題、南京事件等への関心が再び広く一般に喚起される可能性がある。この関心が、映画の中身の検証などを通じたより正確な歴史認識へ、そして騒動をめぐる各人の言説の検証を通じたメディア・リテラシーの…

山形浩生「要するに」

「山形道場」をはじめ、いろんなところに書かれた社会、経済ネタが主な雑文集の第2弾。 「要するに」っていうタイトルが1番、まえがきが2番で、あとはどんぐりの背比べってところだろうか。要するに (河出文庫)作者: 山形浩生出版社/メーカー: 河出書房新…

BRUTUS (ブルータス)−日本経済入門 2008年 4/15号

BRUTUS (ブルータス) 2008年 4/15号 [雑誌]出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 2008/04/01メディア: 雑誌 クリック: 16回この商品を含むブログ (17件) を見る 山形さんのコメントに同意、なわけですが。。。 http://cruel.org/other/rumors2008_1.html#…

高木徹「ドキュメント 戦争広告代理店」

お薦め。いち広告代理店が、一国を崩壊に追いやることが現実に可能なこと、そしてそれがあまりにもドラマチック(劇場的)に行われることに驚きっぱなしで読み進めた。しかし、一方でおそらくこういうものなのだろうと、妙に?納得してしまうものでもある。P…

村上龍「日本経済に関する7年間の疑問」

彼のメールマガジンJMMの月曜版に、1999年3月15日から2006年10月16日まで、7年半の間に掲載されたエッセイをまとめたもの。日本経済に関する7年間の疑問 (生活人新書)作者: 村上龍出版社/メーカー: 日本放送出版協会発売日: 2006/11メディア: 新書 クリック:…

「値上げは悪」−デフレデメリットのコンセンサスを作る気がないメディア

各メディアでは、牛乳、醤油など生活に身近な物が4/1から値上げされることを伝えるニュースが頻繁に流れている。その論調は基本的に値上げが生活を圧迫する、値上げは悪いこと、というもの。経済学では教科書レベルで、多少のインフレより、デフレの方がデメ…

魚住昭「官僚とメディア」

長年記者として前線で働く筆者によるメディアの側からのメディア論。実際に自分で取材したいくつかの事件(耐震偽装事件、ライブドア・村上ファンド事件、NHK番組改編問題等)を軸に、最終的に公になる記事の裏側にある、官僚とメディア、およびその他のプレ…

暫定税率−民主党が主張する2.7倍の負担格差って本当?

暫定税率廃止の議論が停滞する中、そもそも民主党は暫定税率廃止した場合の財政収支への影響をどう考えてるんだっけ?と民主党の主張を確認してみたところ気になる文章が。 「道路特定財源制度改革のビジョン」(民主党HP)より http://www.dpj.or.jp/specia…